引退の言葉~塚平渓太~

こんにちは。先月引退した4年の塚平です。
よかったらご覧ください。

はじめに

まずはこれまでお世話になった方々へ心よりお礼申し上げたいと思います。
水野コーチ、西尾さん、赤門テニスクラブ・OB・OGの皆様方、本当にありがとうございました。
これからも現庭球部部員へご指導・ご支援の程どうかよろしくお願い致します。

また同期や後輩のみんな、ありがとうございました。
幸せな時間でした。ありがとうございました。

さて、引退式では少しふわったとしたことを述べさせていだたいので、本投稿ではもしかしたら役立つかもなーと思うことを書きました。
長いのでめちゃくちゃ暇な人だけ読んでもらえればと思います。

この記事では役に立つかもしれない、おすすめの哲学を1つ、そしておすすめのタイプ論を2つ、ご紹介したいと思います。
他の人に比べて少々理屈っぽい上に長い記事になってしまいましたが、読んでいただければ幸いです。

ストア派哲学

ストア派(ストアは、希: Στωικισμός、英: Stoicism、ストイシズム)は、ヘレニズム哲学の一学派で、紀元前3世紀初めの古代ギリシャでゼノンによって始められた。

wikipediaより

最初におすすめするのはストア派哲学です。

ストア派哲学は「ストイック」という言葉の語源にもなった哲学で、理性を大変重んじます。
しかし決して禁欲を解いているわけではありません。

どんな境遇であろうとも役に立つ人生での知恵を解いた哲学です。
実際、NFL( ナショナル・フットボール・リーグ) のトップチームをはじめとした様々なプロスポーツ選手、CEO、企業幹部など世界中で今もなお多様な支持者を獲得しています。

まずはストア派の中心ともいえるような一節をご紹介します。

「 人生の主な仕事とは、簡単に言えば、物事を区別し、分類することだ。どれが自分の力の及ばない外的なもので、どれが自分の意志にかかっている選択なのかを、自分自身にはっきりと言えるようになること。ならば、善悪はどこに探せばよいのか? 自分ではどうにもならない外的なものには、善も悪もない。自分自身の中、自分の選択の中に、それはあるのだ……」  
エピクテトス『 語録』

ライアン・ホリデイ (2017-06-15). ストア派哲学入門 ──成功者が魅了される思考術  

どうしょうか、興味が湧きましか?
もし興味が湧きましたら、まずはこのTED動画をおすすめします。

メンタルの浮き沈みの激しい人、決断を先延ばしにしてしまいがちな人には特におすすめの動画です。

さらに興味が湧いたという方にはこちらの本がおすすめです。

ストア派哲学の本はいくつかありますが、最初に手に取るならこれが特におすすめです。
少し表紙がダサいですが、簡潔で、良いことがたくさん書かれています。

注意点

ストア派はたしかに心の支えになりますが、これを学んだところでテニスの試合に勝てるようになるわけではありません。
テニスの試合で頼りになるのは、まぎれもないテニスの実力です。

「自信」という言葉は曖昧で、たびたび誤用されているように思います。
自信は主に2つに分けられます。

①よい結果が得られることへの信頼
②心のぶれなささ

①よい結果が得られることへの信頼

本来自信はこちらの意味です。
テニスの試合であれば「今日の試合は勝てる自信がある」といったものです。

この自信はさらに「根拠のある自信」と「根拠のない自信」に分けられます。
このうちで実際に頼りになるのは根拠のある自信でしょう。

どうすれば根拠のある自信を身に付けられるか。
テニスで強くなればよいです。強くなって試合に勝つことを繰り返すことでこの自信が育まれます。

②心のぶれなささ

時々こちらの意味で自信が使われることがあります。

「心がぶれない」とは、どんなことが起きても安定した自我を保つことができるということです。
自我の頑健性といってもいいかもしれません。
テニスの試合であれば「どんな展開になっても変わらずに最後までベストを尽くすことができる」といったものです。

ストア派はこちらを鍛えます。
どんなことが起きたとしても、自分のコントロールの範囲内のことのみに集中できるようにするということです。

①の自信には領域特殊性という性質があります。つまりテニスで自信があったとしても勉強では自信はなくなってしまうということです。
これでは習熟していない分野に取り組むたびに不安に襲われてしまいます。格上へ挑戦するときも心がかき乱されてしまうかもしれません。

そんなときに役に立つのが②ということです。
そしてそれを鍛える効果的なツールがストア派哲学になります。

4スタンス理論

4スタンス理論とは、ヒトが重力と親和しながら動作を行なうための身体部位の操作の仕方は1種類ではなく4種類からなると類型化した理論です。
日常動作からプロフェッショナルアスリートのパフォーマンスに至るまで、各部位の連動、協応のさせかたやリズムには、4タイプのシステムが存在します。

自分のタイプに適った方法で身体を操作することで、それぞれがもっとも効率的で安全かつ最高の運動動作を行なうことが可能となります。
この4タイプは、生得的なものと考えられ自分の生まれ持ったタイプを見極め整えていくことが大切です。

4スタンス理論公式HP

1つ目におすすめするタイプ論は4スタンス理論です。

4スタンス理論は上記のように、生まれつき個々人にあった身体の動かし方があってそれは4タイプですよというものです。

廣戸聡一さんという方が様々なスポーツの動きを観察する中で発見した運動理論で、今のところ科学的な実証手続きを経ているわけではありません。
しかし4スタンス理論には経験的な納得感があり、そして何より実際にスポーツに役立てることができます。
実際、野球やゴルフでは4スタンス理論の活用が進んでいて、廣戸さんはオリンピック強化委員にも選出されたみたいです。

私自身、4スタンス理論を学ぶことで長年苦手だったフォアを改善することができました(学ぶタイミングが遅くて試合には活かせませんでしたが、、、)。

この記事内で4スタンス理論を解説して、さらにテニスへの活かし方も解説できたらなと思っていたのですが、
公式によるとインターネット上で4スタンス理論の中身を解説することは禁止されているため、断念しようと思います。

4スタンス理論に興味をもった方にはこちらの書籍を強くおすすめします。

「4スタンス理論 テニス」などでインターネット検索をすると色々出てきますが、
公式の本を読んだ身からすると、ネットの情報はほとんどあてになりません
例えば、youtubeチャンネルだと「4スタンス○究家 ○ース〇ー」はひどいです。「てに○んぐ」も微妙ですね。「やき○ば」はまだましだと思います。

普通に本を読むことをおすすめします。
4スタンス談義をしたい方、テニスへの活かし方を相談したい方がいましたら気軽に塚平までご連絡ください。
特に技術的な穴がまだ大きい人、苦手なショットがある人ほど4スタンス理論を学ぶ効用が高いのではないかと思います。

MBTI

MBTI(Myers–Briggs Type Indicator、マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)は、個人がどう世界を認識し、物事への決定を下すかについての心理学的な選好を示すことを目的とした、内観的な自己申告型診断テストである

wikipedia

2つ目におすすめするタイプ論はMBTIです。
もともと海外で主流でしたが最近は日本でもけっこう流行ってきているmbtiです。

すでに知っている人もいるのではないでしょうか?
簡単に言うと、性格を16タイプに分類する理論です。

mbtiで検索すると色々出てくるのでそれらを参照してもらってもいいですが、ここでは私のおすすめの扱い方を紹介したいと思います。

①診断テストに答える

以下のサイトのどれかを使って自分のタイプを診断します。

https://www.16personalities.com/ja

https://16test.uranaino.net/

②吟味して決定する

ただし、この結果はしばしば誤っている可能性があります。

そもそもこれらのサイトは非公式であり、公式のmbtiはライセンスを持ったカウンセラーと長ければ半日くらいかけて話し合いながら自分のタイプを診断するものだからです。

ですから、出てきた診断を過信せずに自分の納得のいくまで他のタイプの説明を色々と読んでみることをおすすめします。
色々サイトはありますが、こちらのサイトが簡潔・正確なのでおすすめです。

https://wikiwiki.jp/16types/

※他のサイトは表現がやや美化されすぎていたりするのでおすすめしません。

③友達の診断を聞いてみる

同じように②までを終えた友達の結果を聞いてみましょう。今までのその友達の言動とその結果を合わせてみて、納得のいく部分、分からない部分があると思います。

「たしかに~」と思うような体験が楽しいかもしれません。

④もっと詳しく勉強してみる

興味の無い人は③までで十分ですが、おもしろいなと思った人はもっと勉強してみるのをおすすめします。

mbtiでは簡単にいうと、8つの心理機能の強弱バランスによって性格が決まるとしています。

つまり、人は誰しも共通の8つの機能をもっているが、人によって優位に働く機能とそうでない機能があり、それらが複合的に組み合わさった結果、性格という複雑な事象が発生している、ということです。

8つの心理機能については先ほども紹介したこちらのサイトが参考になります。

https://wikiwiki.jp/16types/

8つの心理機能が何かわかったら、自分のタイプはどうなっているのか見てみましょう。特に第一機能は自分が幼いころから優位に働く機能なのでわかりやすいかもしれません。また第四機能も自分が苦手とする機能なのでわかりやすいかもしれません。

さらに書籍を読んでみても良いと思います。

https://www.izayoiblog.com/entry/2020/01/27/mbti-osusume-books

また、自分はINTPですがこちらの本が参考になりました。

逆にネットにあふれている情報は眉唾ものが多いのでおすすめしません。
特に相性論に関しては公式では発表されておらず諸説あるので話半分で読むのがいいと思います。

注意点

さて、ここまでMBTIを紹介してきましたが注意してほしいことが4つあります。

①そもそもMBTI理論自体に欠陥があり、フレームワークが全くの的外れである可能性がある。

wikipediaでも指摘されているように、MBTIは心理学の主流派ではなく昔から多くの批判があります。
決して科学的とはいえない代物だからです。
そもそも人間の心というカオスなものを分類する試み自体が無謀なので、しょうがない側面もあるかと思います。

②今の診断が真のタイプではないかもしれない。

自己診断の限界ともいえますが、しばしば間違えます。
完全に納得がいくまでは確定しないようにしましょう。

③同じタイプの中でも成長段階がある。

シンプルに説明すると、心は第一機能から順に発達していきます。
その発達の具合によって成長フェーズが分かれています。
段階によって全然違う顔を見せることがあり、性格が変わったと思うこともあるかもしれません。
しかし性格タイプが変わったのではなく、同じタイプ内で変化が起きているだけなのです。

④8つの心理機能以外にも人の心を形作るパラメーターは無数にある。

MBTIにのめり込んだ人あるあるですが、人の言動を何でもかんでもMBTIで説明しようとするという罠にはまることがあります。

しかしよく考えてみればわかりますが、人間の心は8つの心理機能以外にもたくさんの無数の要素によってできています。
たとえば、幼少期の過ごし方、男女の性差、テストステロンなどのホルモン、運動や音楽、論理的思考能力などの才能、そして何よりその人のそれまでの経験、、、、

こういった無数の要素がその人の今の心を形作っています。
mbtiで説明できる領域というのはごくわずかです。

勘違いしないようにしましょう。

MBTIの意義

ここまでまじめに読んでくれた人は、「じゃあそんな不完全なもの、何のためにあるんだよ」と思ったかもしれません。
私は意義は2つあると思います。

1、自分の理解を深めることができる
2、他者の異質性を一定のフレームワークを以て理解することができる

1、自分の理解を深める

MBTIはこれまでの自分の人生や思考回路をある程度説明することができます。
自分の長所を理解することでそれを活かしやすくなるかもしれません。
自分の弱点を理解することで陥りがちな罠を回避できるかもしれません。
自分が何に幸せを感じて、何を不幸だと思うのか、そのヒントになるかもしれません。

2,他者との異質性を一定のフレームワークを以て理解することができる

部活を続けていると、他人との違いが気になることがあると思います。

「なんであいつはあの場面でああするんだよ。まじで意味わからん」
「あの人の話ってこういうクセあるよなー。もっとこうすればいいのに」
「なんであの人は俺の言っていることを理解してくれないだ。こんなに分かりやすく説明しているのに」

自分と他者との異質性を認められないと、こういったことがストレスになり、実際に人間関係にも問題が生じるかもしれません。
しかし、mbtiを学ぶと「思考回路以前にそもそも優先して使っている機能から違うんだから、アウトプットも全く違うものになって当然だよな」と納得できます。

かくいう私は典型的なINTPです。INTPは全16タイプ中もっとも論理に傾きやすいタイプと言われています。実際この記事をここまで読んでくれたのならば納得だと思います。
テニスだろうと人間関係だろうと何かと頭で考えたくなります。
幹部代になってからの同期との議論でも、それが仇となって議論が無駄に紛糾してしまったこともあります。

もし、この他者との違いを私が理解できていればもっと良い議論になったことだろうと思っています。
mbtiを学ぶことは良好な人間関係、良いチームづくりの第一歩になるのではないでしょうか。

最後に

私は現役の頃、しばしば「なんで大学生にもなってテニスをこんなに必死にやっているんだろう」って思うことがありました。

私たちがテニスを頑張ることは特に実益をもたらしません。

むしろ、
大学の勉強の邪魔になるでしょう。
バイトの邪魔になるでしょう。
遊びや恋愛の邪魔になるでしょう。
旅行の邪魔になるでしょう。
院試や就活の邪魔にもなるでしょう。
テニスを嗜むだけならサークルで十分です。

今現在を楽しむためなら他にいくらでも手ごろな手段がありますし、そのうえ将来につながるわけでもありません。

全くもってナンセンスです。合理的とは言えません。

しかし「左ききのエレン」という私の好きな漫画の中で、いいなと思う一節を見つけました。
長ったらしい記事になってしまいましたが、最後はそれを紹介して終わりたいと思います。
ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました。

皆さんのご活躍を心より願っています。

4年 塚平渓太

あなたが大人になる前に
やらなくちゃいけない事がある

本気出せ
本気出して 本気出して 本気出して
それから 諦めろ

そしたら きっと許してくれる
あの日のあなたは きっと許してくれる

たとえ夢が叶っても 叶わなくても
あなたは自分を 愛せる

称賛のためじゃなく 脚光のためじゃなく
人生を愛するために戦う友へ

左ききのエレン

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