恩送り
こんにちは。庭球部1年の冨です。
東大庭球部に入部して早くも1年が経ち、年の瀬も徐々に迫ってきております。振り返ると、この1年は本当に短いようで、⻑いものでした。このように感じるのは、庭球部として過ごした日々の1日1日が本当に濃い物であったからです。入部当初に早速訪れる双⻘戦の全面ボーラー、息を呑む試合が続いた七大戦、地獄の夏合宿、情熱に満ちたリーグ戦といった大きな対外試合の思い出から、試行錯誤を繰り返しながら喜びと葛藤を味わう日々の練習まで、様々な思い出が溢れ出てきます。勉強だけを極めるという単調な浪人生活を送っていた昨年と比べてしまうからでしょうか、この1年はあまりにも色鮮やかで眩しすぎました。
さて、突然ですが、皆さんは「恩送り」という言葉をご存知でしょうか。この言葉は、元乃木坂46の齋藤飛鳥さんが紹介されていたことでも話題になったものです。似た言葉に「恩返し」という言葉がありますが、「恩返し」は「ある人から受けた恩をその人に返す」ことを意味するのに対し、「恩送り」は「受けた恩を別の人に送ること」を意味するという点で決定的に異なります。見返りを求めずに、誰かから受けた恩を別の人に返す。こんな「 恩送り」の素晴らしさに気づかせてくれたのは、紛れもなく、この東大庭球部なのです。直接は言えないのでこの場で言いますが、私は同期のことを尊敬しています。理由は様々ですが、1番の理由は、彼らが当たり前のように恩送りをしているからです。自分の仕事があるのに自ら他人の仕事を手伝ったり、誰もがあまりやりたくない仕事を自分から引き受けたり、時には昼ごはんを買い忘れた人に自分のご飯を恵んであげたりなど、全く見返りなどを期待せずに他人に恩を与えています。彼らがそれを恩送りだと自覚しているかはわかりませんが、それまで周囲の人から貰ってきたのであろう恩を、別の人に送っている彼らを見て、 私は恩送りの素晴らしさに改めて気付かされました。また、恩送りが見られるのは同期だけではありません。実は、東大庭球部自体が恩送りに満ちています。例えば、日々の練習中に先輩から頂くアドバイスや、練習や対外試合の後に先輩が奢ってくださることなどです。先輩方がこのように接してくださるのは、もちろん先輩方ご自身の優しさによるところも大きいと思いますが、おそらく先輩方の先輩が同じように下級生に接されていたからという理由もあると思うのです。先輩から頂いた恩を次は後輩に送るという形で、恩はいわばバトンのように受け継がれて、今に至っているのだろうと思います。この伝統は、体育会特有の理不尽で不必要な伝統とは一線を画した、守るべき美しい伝統です。この伝統が途切れさせないようにする責任を持って、これまで、そしてこれからも頂くであろう沢山の恩を未来の後輩に送っていきたいと考えております。
かなり真面目なブログになってしまいましたが、ここまで読んでくださっている方は、私の拙い文章にお付き合いくださりありがとうございました。このブログを一言で要約すると、東大庭球部はいいところだよということです。入部いつでもお待ちしています。
以上です。失礼します。