新しい代になって〜星川拓夢〜
こんにちは。庭球部3年の星川拓夢です。
代替わりしてもう3ヶ月が経ってからのブログとなりますが、改めて僕は東大庭球部の主将を務めることになりました。僕が初心者として入部したときは(もちろん僕を含め)主将になるなんて誰も想像していなかったと思いますが、今は強烈な使命感と共にもがいている日々が続いています。
前回ブログを書いてからちょうど2年が経ったので、まずはこの2年間を振り返ってみようと思います。前回のブログのときには実はまだ一度も部内戦で勝ったことがなく、どうやって試合に勝つのかが全く分からない状態でした。ラリーを繋いでいても自分が先にミスするだけだから攻めに出るしかなくて、その結果ミスだらけになって負けるというような見応えのないプレースタイルで、練習でもたくさん迷惑をかけたと思います。それでも昔から変わらずトム・クルーズに憧れ続け、自分も頑張らなければと意気込んで年末年始のオフ期間に、当時恐ろしくやる気のなかった弟の歩夢を強制連行して練習に励んだ記憶が鮮明に残っています。その甲斐もあって、僕のテニスは幾分かマシになったような気がします。
以前のブログでトム・クルーズのことについて書きましたが、なんだかんだ今も彼に憧れ続けているような気がしています。実際この2年のうちにかなりのトム・クルーズ主演の映画を観て感化されてきました。数多くの名作と、残念ながらそれに引けを取らないほどの駄作がありますが、決まって共通しているのは「挫折を努力によって乗り越える姿」です。残念ながらいくらかひどい映画もたくさんあります。ファンの1人としてやはり今年もミッションインポッシブル最新作を観に行ったわけですが、いよいよ設定までもインポッシブルになってきてただのアクション映画と言わざるを得ません。北極海でウェットスーツを脱いだらさすがに死にます。この映画の中なら、タイタニック号のディカプリオもハッピーエンドを迎えたに違いありません。また別の観点でいくと、おじいちゃんになっても色恋沙汰をやりすぎであります。ある映画ではさすがに僕でも見るに耐えないものがあり、10分間早送りしてしまおうという禁断の手を使いました。
だとしても僕を魅了し続けるのは、若かりし頃のかっこよさの余韻が今も残っていることと、挫折してもそれを乗り越えようと奮闘する姿にあります。映画で起こるような壮大なスケールは僕が生きる世界ではなかなか起こらないけれども、どこかに僕と重なるものがある。身近な人には分かると思いますが、僕は恐ろしく不器用な人間です。数々の間違いや失敗をしてきて、大一番でうまくいかないし、飲み込みも遅い。それ故に自信を無くすこともよくあります。そんな不器用さが正直僕は嫌いです。しかしながらまるでそれに対抗するかのように、並外れた向上心が僕にはある。自分の能力が明らかに足りなかったとしても、向上心というものが自分の心の中で叫ぶものだから、無理難題にでも突っ込んでいこうとするところがあります。不器用なのだとしたら、たとえ悔しい思いをたくさんしてでも、がむしゃらに努力するしかないのです。こんな感じで、僕は少しずつ夢を叶えてきました。
こんな僕は、強いやる気をもって東大庭球部の主将になりました。僕たちの代は絶対的なエースが不在で、結果として僕に主将の役職が回ってきた。確かにそうかもしれない。しかしながら僕が決断したのはそんなしょうもない消極的な理由からではなく、自分が主将になんかならないほうがいいんじゃないかと逃げた未来に、炎を上げて堕ちてゆく戦闘機のような光景が見えたからで す。その光景が頭をよぎった瞬間に、庭球部の運命の一部分は僕が背負っているような感じがしました。このままでは虚しい終わり方になってしまうような、そんな気持ちにとらわれた背景には、僕自身の庭球部人生が関わってきます。僕が入部した年に、庭球部は関東大学テニスリーグでの5部降格を経験しました。東大の選手が決して弱いわけではなかったのに、相手にボコボコにやられていく姿をただ呆然と見るしかなかった。そしてこの情景が、代替わりした今再びフラッシュバックするわけです。大好きな人が泣いているのを見るのは一番嫌じゃないですか。そんな未来の代わりに最後はみんな笑顔で終わりたいし、それができれば、次の代では僕が1年生だったときに元々目標としていたリーグ戦3部にまでいける実力と精神力が備わっているはずです。そんな思いで、強い覚悟を持って僕は主将になりました。
では、主将となった今、僕がやるべきことは何か?たくさんありますが、一番大切なのは「みんなを愛すること」なのではないかというのが現状での答えです。みんなを大切にすること、思ったことはしっかり言うこと。これができないのなら、僕は主将として失格です。東大庭球部ではみんなが一生懸命練習に励んでいます。毎日超絶ストイックな練習をしてチームを背負う、次期主将の濱口。普段は激務をこなしながらもコートに足繁く通って頑張っている新井。硬式を始めてわずか7ヶ月で凄まじい成長を遂げている渡邊。手首を怪我して練習ができないならフットワークを追求しようと切り替えて、療養中もトレーニングをしにコートに来ている梶沼。もちろん全員のぶんを書けますが、これ以上書くとキリがなくなるのでやめます。でも、本当にみんな真面目で、頑張っていて、そんな彼らに僕も支えられている。その感謝の気持ちの裏返しなのか、みんなのことをもっと大切にしていきたいと思うようになっています。
それゆえに、みんなに求めることも多くなっていると思います。叱ることもあるし褒めることもありますが、全部本音で伝えているつもりです。そしてテニスの練習時間中は特に厳しく向き合っているつもりです。第一にみんなに上手くなってほしいから。そして上手くなったほうが絶対に充実するから。正直言って大学生活をテニスに捧げるというのは非常に不安がつきまとうはずです。大学生活は幅広い選択肢があります。勉強するのもよし、バイトやサークルでコミュニティを作るのもよし、遊び呆けるのもよし。本当に何でもありです。その中でテニスに時間を割いて自分は大丈夫なのかという問いが必ずどこかで現れます。そんな時に判断基準となるのは、どれだけ普段の練習で真剣に取り組んでいるかということに他ならない。練習以外の時間は何をしたって構わないから、少なくとも練習時間だけはテニスに全集中して、ボール拾いなどで無駄になってしまう時間は可能な限り減らして、日々成長していかなければならない。簡単ではありませんが、東大庭球部で強くなれるんだという自信が個々人の大学生活を豊かにすると思っています。そんな魅力ある部活にするのが僕の役目です。
そして、もう一つ僕がやらなくてはならないこと。それは「僕自身が強くなること」です。それは前述した向上心にも関わってきます。入部してから2年半でそれなりにはテニスが上達した気がするけれども、主将としてはさすがに弱すぎる。これは喫緊の問題です。気付けば歩夢に差をつけられてしまっています。みんなを引っ張っていく立場にありながら、テニスで遅れをとっているようなら、信頼感はゼロに等しい。僕は死ぬ気で上に行かなければいけません。だからたとえ気持ちが乗らなくてもコートに行く。たくさん試合をしてどんな相手にも勝ちに行く。圧倒的にトム・クルーズを超えていかなければならない。僕を駆動するのは並々ならぬ向上心と、現状への悔しさと、部の運命を考えた際の危機感です。あとわずか9ヶ月ですが、死ぬ気で練習して上手くなってみせます。それと同時に、2年前に誓った勉強との両立も、これまでコツコツ積み重ねたものがあるから、たとえ復習ができなくても授業で全てを学びとってやるんだと、毎日自分に言い聞かせています。
最後に。東大庭球部全体で4部昇格を掲げている理由は、それを目指せるメンバーだから、ということと、それを通して東京大学での生活を庭球部で過ごす意味を感じられるから、ということだと思います。簡単には昇格できないということを現役部員は今年感じたはずです。今のままではまだまだ足りない。だからこそ、今のうちからみんなで頑張っていく必要があります。部員全員がレギュラーを目指して全体を押し上げていく義務があるのです(もちろん僕もそうです)。そして今の東大庭球部は全員がチームに貢献できる環境が整っているし、来年になって新入生が入って来てくれるときには、今よりもさらに魅力的な東大庭球部になっているはずです。その毎日の積み重ねの中に、大学生活を通した私たちの幸せを生み出せるのではないでしょうか。そして僕は、その象徴となるべく庭球部に命を捧げます。


