多浪の楽園
多浪。これは受験生が最も嫌がる言葉かもしれません。世間一般でも多浪は負け組といったマイナスのイメージが先行しています。しかし、多浪は本当に負け組なのでしょうか?
僕もかつては多浪が負け組というイメージを持っていました。しかし、東大庭球部2年のA 君との出会いを通じてそのイメージが大きく変わりました。A 君は、僕にこう言いました。「多浪は深いのです」と。要は、何も考えずにただ周りに流されてふわふわしている現役よりも、苦難の歴史を乗り越え常に信念を持ち努力する多浪の方が遥かに優れているということです。そして、A君は実際にその深みを東大庭球部に示し続けています。東大庭球部の三苫薫(ブライトンのサッカー選手)と呼ばれる彼は、テニスにおいて野獣のようにバコリ続けるのかと思いきや、時にセクシーなタッチを見せ、現役をその深みへと引き摺り込みます。また、日常生活においても、一部の現役の浅い軽挙妄動をライオンのような獰猛さでいなすかと思いきや、時にまるで女性のような愛嬌を見せ、みんなの妹となります。A君はもはや、テニスでも日常でも、まるで三苫のように深みを抉るドリブルをして、現役に経験の差を見せつけています。
現在、東大庭球部には多浪が各学年合計で4人存在します。そして、2023年に我々4人はA君のもと結束し、A君をボスとして東大庭球部に独自の多浪交流会を発足させました。我々は定期的に高級料亭で会合を開き、多浪の勢力拡大について熱い議論を交わしています。また、そんな我々多浪の深い見識に憧れを抱き、現時点では多浪ではないものの、多浪を志して、庭球部多浪交流会に見習いとして参加するものも日々増加しています。そんな我々庭球部多浪交流会は勢力拡大のため、日々仲間を募集しています。ただ闇雲に現役にこだわるのではなく、経験を積み重ねてから東大に入学し、多浪の楽園である庭球部で、現役に深みを見せつけるのもいいのではないでしょうか?