主将としての意気込み 松村一太朗

10月19日 広島の黒田博樹が引退を表明した。僕は特に広島ファンというわけではないが、黒田博樹という男気溢れる選手のファンである。20億円というメジャーでの契約金よりも、選手生活の最後に古巣でプレーすることを選択した黒田。そして今年リーグ優勝を果たし、日本一まであと一歩まで来ている。野球はチームスポーツであるが、やはり黒田が帰ってきた影響は大きいだろう。彼1人の存在でチームが変革したのではないかと思う。僕が黒田を一言で表すなら「かっこいい」が一番合っていると思う。それは容姿のかっこよさではなく、彼の選手としての生き様、行動のかっこよさである。

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円陣でチームメイトに語る黒田選手

僕は東大庭球部の主将になるにあたって、どのようなリーダーを目指すべきか昨年から考えてきた。50名ほどいるこのチームをどのように導いていくか、今もまだ模索しているところがある。
東大庭球部というのは本当に特異な組織であるように思う。そもそも東大にテニスを本気でやろうと思って入学してくる人なんて1人もいないのだ。だからこそ、このチームは大学からテニスを始めたものもいれば、僕のように小学生の頃からやってきた人もいる。テニス偏差値でいえば、かなりの差があるのである。そして、練習形態も特異である。昼間は授業があるため、朝練かナイター練しかなく、コートが50名に対して4面とい うこともあり、全員で練習することは不可能である。しかも、1面4人で練習をするという文化があり、基本的に同じぐらいのレベルの人と練習することになる。僕もまだ打ったことのない部員はかなりいる。
そんないびつな組織ではあるが、現在関東4部リーグに位置しており、部としては「3部昇格」を目標として掲げている。
この3部という1つ上のステージでは推薦で選手を確保する大学が増える。つまりテニス偏差値の格差は少なく、そのレベルは高い。だいたいジュニアからやってきたメンバーでレギュラーが揃うといった印象だ。その3部の壁に僕たちは挑戦しようとしているのである。
そんな特異な組織であるこの東大庭球部を1つにまとめるというのはなかなか大変なことである。上から下まで意 識を浸透させ1つの目標に向かわせるというのは並大抵のことではない。
だからこそ、僕はこの組織に相応しい主将像に悩んでいる。いや、悩んでいた。

そんな時、ニュースで黒田博樹の引退会見を見た。その時、僕はこの人だと気付いた。
「東大の黒田博樹になろう」
自分の行動でチームにいい影響を与えて、変革をもたらす。自分が経験してきたもの、考えてきたことを後輩に伝えることで後輩の成長を促す。そして、なにより自分が1人の選手として、いやチームの大黒柱としての自覚と責任をもって日々練習に励み、結果で応える。これだ。
僕が目指すべき主将像が明確になった。

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後輩を指導する黒田投手

後輩を指導する黒田選手

ある番組でイチローが黒田についてこう言っていた。「ピッチャーには勝たせたいと思うやつと、勝たせたくないと思うやつがいる。黒田は前者だ。」と。
僕は常々、チームを昇格に導けるかどうかは最上級生の本気度だと思っている。「この先輩たちと昇格して一緒に喜びたい」後輩たちにそう思ってもらえるかどうかだと思ってる。
これからの日々で黒田のように「勝たせたい主将」になれるか、これも僕の行動次第だと思ってる。

大学に入学してからの3年弱、いや小学5年生からテニスを始めてこの方、テニス中心の生活を続けてきた。時には友達と遊びたいとか、彼女作りたいとか思ったときもあったけど、やっぱりテ ニスを捨てることはできなかった。田舎から浪人までして東大にきて、勉強に打ち込むかと思いきや、ここでもテニス中心の生活である。まったく大学生らしいことなんてしてない笑
それでも、結局のところテニスが好きだし、これ以外に道はないと思う。
そして、東大というこの特異な事情を抱える大学だからこそ、3部昇格を目指す価値があると思う。
そんな日々を送れるのもあと1年。
僕のこれまでのテニス人生の1つの区切りに向けて、これまで以上に真摯に自分に向き合い、結果を追求していきたいと思う。

「東大の黒田博樹になる」

そして最後には部員全員で昇格の喜びを味わって、同期たちと男泣きして引退を迎えたい。

itaro

信頼される主将になります!

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