引退のことば〜前川名月美〜

こんにちは。女子部前主将の前川です。
先日の引退式をもって、17年間続けてきた競技テニス人生が幕を下ろしました。

 5歳の春に、桜の木に囲まれたテニスコートで初めてラケットを握った日から今日まで、すごく長かった気もするし、あっという間だった気もします。自分が生まれてから今までの記憶を振り返ってみると、頭に浮かぶのはほぼ全てがテニスに関する情景で、「テニス嫌い!!」と(一部の人には)愚痴を漏らしながらも続けて来たテニスが、やっぱり自分の全てだったんだなと痛感します。今日は、これまでのテニス人生を通して学んだ大切な言葉について書こうと思います。

「人生の選択に正解も不正解もない。自分の選んだ道が正解だったと思えるように努力して、どんな状況も全力で楽しむ。」

 これは、私が幾度となく父から言われ続けてきた言葉です。そして、ネガティブ思考が頭の中を支配しがちな私には最も達成の難しい言葉です。

 私は小さい頃から「テニスでも勉強でも成果を出す」という文武両道を目標として日々過ごして来て、中学生くらいまではその両方である程度の成果を生むことができていました。しかし、次第にテニス一本に全てをかけている周りのライバルたちとどんどん差が開いていき、いつの間にか関東大会さえ出れないレベルまで落ちていきました。

 さらに、東大に入ってからは、自分と同じくらいの女子選手がいない環境にテニス面でも精神面でも悩み苦しむ、さらにはあんなに得意だったフォアもまともに打てなくなる(それでもフォア以上にバックが打てないため、「前川はフォアが得意」と思われていますが、、、笑)、という状況に陥りました。その状況自体はまだ許せるのですが、その状況を改善できない弱い自分(勉強の忙しさを口実に環境を変える努力を十分に出来ていない自分、最後の最後はテニスよりも勉強を優先してしまいテニスで思うような結果が出せない自分、忙しい時に自分で限界を作ってセーブしてしまい「体が壊れるまでとことん追い込む!」という根性がない自分…etc.)が許せず、自分がどんどん嫌いになっていきました。そして、そんな自分の弱さをこれでもかと突きつけて来るテニスが何よりも嫌いでした。

 そのため、「こんなに辛い思いするなら庭球部なんて入らなきゃよかった。」、「みんなと同じで中高部活テニスだったらこんなに苦しくなかったかもしれないのに、、、」と、過去の自分の選択を後悔することが非常に多かった気がします。その中でも特に苦しんでいた時期に父からもらったのが、先ほど紹介した言葉でした。実際には、「自分のやっていることを全部肯定しなはれ。で、もっとうまくやったり、楽しむ工夫をしようとするといいこと尽くめだぜ。まぁ人生楽しんだもん勝ちということで。(LINEにて)」とまぁ、リビングのソファでコーヒーでも飲みながら送ったのかな、と感じるほどほわわーんとした表現でしたが(笑)

 けれど、当時の私にとってこの言葉の効果は絶大でした。「『周りと比べて自分がどうか?なんて関係ない。自分の選んだ道を、責任を持って、誇りを持って楽しめ。』これまで何度も言われてきたはずなのに、何で忘れてたんだろう。そうだよ、もうテニス始めちゃったんだし、庭球部にも入っちゃったんだし、どうせなら楽しめば良いんじゃん!」そう思えるようになった瞬間、目の前にあるたくさんの「つらいこと」が「自分の人生を彩る楽しい挑戦」に変わっていきました。数十秒前と状況は何も変わってないのに、、、笑。

 そうです!ものは捉え方次第なんです。よく、コップに半分だけ水が残っている状態を「まだ半分もある」と思うか、「あと半分しかない」と思うか、といった議論を見かけますが、まさにこれです。同じ状況も捉え方次第でプラスにもマイナスにもなり得るのです。「どうせ状況が変わらないなら、楽しんだ方がお得よね。」とまぁ、こういうことです。

 何か思い通りにいかなくて苦しいことがあるとつい、「なんで△△じゃなく〇〇にしちゃったんだろう」と自分の過去の選択を悔いたり、「Aさんは△△しててすごいな〜楽しそうだな〜なんで自分はこんなにつらいんだ、、、」と周りのことが羨ましく見えたりしてしまいますが(その気持ち、すごく分かります。それで、色々悩むうちに自分がダメな人間に見えてくる、、、といった悪循環に陥ることもしばしば…)、人間努力したからといって必ずしも上手くいくわけではないし、自分ではどうにも変えられない状況もあるからしょうがない、と受け入れて、「じゃあ、そのつらい状況・自分が選んだ道をどう楽しんでやろうか?」という工夫・挑戦をしていくと、いろいろなことに前向きに取り組んでいけるのではないかと思います。

 これまで流した涙の9割5分はテニスに由来するものなんじゃないかと思うほど、苦しいことや寂しいこと、胸がきゅっと締め付けられるほど後悔することがたくさんありました(もちろん楽しいことも。)が、こうしてポジティブメガネをかけて改めてこの22年間を振り返ってみると、その全てが他の誰でもなく自分だったからこそ見えた景色だし、誰にも譲りたくないすごく面白いテニス人生だったなと思えるようになりました。そして、これからもテニスを始めたこと、テニス一本ではなく勉強との両立を選んだこと、東大庭球部に入ったこと、、、これまで下した選択の数々を全て大正解だったと思えるように努力し続けていきたいと思います。そして、私だけでなく部員のみんな一人一人が、他の誰でもなく自分自身の人生、状況、選択に誇りを持ち、「自分が一番幸せだ!自分で良かった。」と胸を張って自慢出来る充実した日々を過ごしていけたら素敵だなと思います。


 
 最後に、OB/OGの皆様、コロナ禍という大変な状況の中、私たちの活動を支えていただき本当にありがとうございました。先輩方のご支援・ご指導のおかげで、貴重な4年間を過ごすことができました。これからは、OGとして庭球部を支える立場になっていきたいと思います。
 そして、今後の庭球部が少しでも早くコロナの縛りから解放されて思い通りの活動ができるようになることを願っています。残りの部活人生を思う存分楽しんで、自分にしか見えない景色をいっぱい見てください!応援しています。
 これまでテニスを通して出会った・お世話になった方々、本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いいたします。


 
 これから新たなテニス人生の幕開けです。

女子部前主将 前川名月実

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