新しい代になって〜猪瀬健介〜

こんにちは。庭球部3年、男子部主務の猪瀬です。

まず初めに、OB・OG の皆様には平素より多大なるご支援を賜り心から感謝しております。今後とも何卒宜しくお願いいたします。また、先日引退された4年生の先輩方におかれましては、これまでの 3 年半に及ぶ庭球部での活動に改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。先輩方が我々を指導してくださったおかげで、我々は庭球部での活動をこれまで全うできております。これからは庭球部に縛られることのない生活を送りつつも、時々、庭球部に思いを馳せてくだされば幸いです。

代替わりを行なってから、1週間が経とうとしています。他校とやり取りして試合組をしたり、主将の北をはじめとする同期たちと協力しながら部の運営をしたりする事に充実感を覚えながらも、部の事を考えなければいけない時間も必然的に増え、形容し難い重圧を日々感じております。本稿では、これまで自分が庭球部の活動に身を投じてきた中での所感と、主務として1年間部活動に臨むにあたっての意気込みを述べさせていただき、代替わりの挨拶に代えさせていただきます。

前年度、我々は、双青戦敗北、七大戦最下位、リーグ戦5部降格という、筆舌に尽くし難いほど悔しい経験をしました。勿論、勝敗だけで全てを語ることは不毛であるかもしれませんが、それでもやはり、自分達が正しいと信じて進んできた1年間が否定されてしまったような実感さえありました。特に、レフェリーとして臨んだリーグ戦では、独り応援することもできず、尊敬している先輩、後輩、同期が敗北していく姿を見て、そして何より、東大庭球部が部として敗北した瞬間を目の当たりにして、人生で一番に悔しい思いをしました。さて、こうした一連の敗北の要因は一体どこに求めることができるのでしょうか。試合に負けた選手だけの問題なのでしょうか。決してそんな事はなく、部員全員の責任であるというべきでしょう。確かに、試合という瞬間的な一点だけを見れば、試合に負けた選手に改善できる所はあったかもしれません。しかし、もっと長期的な視座に立てば、それは選手を強くすることが出来なかった部員全員の責任であるといえます。他の部員が選手達に自身の現状に対して危機感を覚えさせるほど強く在れたか、選手達を強くできるほど強く在れたかと問われれば、首肯できる者は多くはないはずです。私自身、自分より実力が上の選手に中々勝利することが出来ず、部の実力向上の停滞に寄与してしまったことをとても情けなく思います。
しかし、それが果たして、部員個人個人の責任だけで完結するかと問われれば、それもまた違うでしょう。部員、特にイレギュラーが部全体を底上げすることができていない状況に対し、部全体として危機感を持ち、部全体で策を講じることができなかったことも、敗北に少なからず寄与してしまったのではないかと思います。勿論、多くの部員が、底上げができていないという漠然とした印象を抱え、日々研鑽に励んでいたことは間違いがないと思います。ただ、こうした現状に対してもっと明確な危機感を持ち、かつそれを周りに伝え、諸々の実行に移させるほどの労力をかけた者が部内にいたかと問われれば、私含め自信を持って首を縦に振れる者は少ないのだろうと思います。実際、イレギュラーが格上の選手に勝つことができていない状況に対して、部全体で危機感を持つというよりも、むしろどこか嘲るような風潮すらあったのではないかと思います。

こうした自分の実感を踏まえて、東大庭球部は、部員全員がもっと自分が強くなることにコミットできる組織である必要があると感じるようになりました。部の強さはレギュラーの強さではなく、部員全員の強さです。イレギュラー含め、全ての部員が、自分が強くなることで部が強くなっているという実感を持ち、部の勝利への貢献も、敗北の責任も、全て自分の事だと感じることができるような部が、理想の部活ではないかと思うようになりました。
こうした理想を実現させるために、部員の意識を発揚できるような制度面でのフォローを充実させ、部全体としてその方向を向けるよう全力を尽くすつもりです。ただ、結局最終的には、部員皆の気持ちに依存することになるのだろうと思います。皆が意識を高く持って臨んでくれれば理想の実現には近付くのだろうし、逆もまた然りだろうと思います。
そこで、部員の皆には、これまで以上に、本気でテニスが強くなることを目指してほしいです。自分が強くなるためには現状何が足りていないのか、それぞれの残された時間で何をするべきなのか、もっと考えて、練習の質を上げることができると思います。日頃の練習や試合の時に限らず、自主的にテニスをする時間を増やしてほしいし、テニスをしていない時間にもたくさんテニスのことを考えてほしいです。特にイレギュラーの皆は、現実的な問題として、これからテニスを続けていくうちに自分の天井が見えてきてしまうこともあるかもしれません。しかし、たとえ自分がレギュラーになれないとしても、自分が強くなることが他の部員を強くするのだと、自分が尊敬しているレギュラーの同期や先輩、後輩を強くするのだと、そう信じてテニスに励んでほしいです。どんな状況であっても、他の部員に対して無責任にはなってほしくないと、心の底から思います。

自分自身、主務として、それ以前に一人の部員として、他の部員に強くなっていく姿を見せる必要があると、常々感じています。正直、テニスが強くない自分が主務を務めることには、自分が主務になった時からずっと負い目を感じています。これまで主務として部を牽引してくださった先輩方と今の自分の姿はかけ離れているものであり、テニスの強さが主務の必要条件ではないとはいえ、やはり自分の中では、主務の強さが他の部員や部に与える影響は大きいと感じています。
しかし、だからこそ、自分が強くなることによって、他の部員の実力を底上げできるのではないかとも思っています。現状、自分にできることは、これまでの先輩方のように実力で上から引っ張っていくことではなく、下から部員全員を押し上げていくことです。自分が強くなろうとすることで、一人でも多くの部員の実力を押し上げることができれば良いと、そう思っています。そして、最終的には、レギュラーとして勝利し、部員を実力で牽引できる存在になりたいと思っています。当然、これから自分が強くなることに大きな責任を持たせてテニスに臨むのは苦しく、険しい道のりになると思います。しかし、その過程も他の部員のためだと思って、何より、自分が悔いなく部活動を全うするためだと思って、やり抜くつもりです。

最後になりますが、この一年間は、これまでの悔しさをずっと忘れないでいてほしいと思います。そして、一人一人が、自分のために、他の部員のために、懸命に励んでほしいと思います。一年後には、一つでも多くのことを肯定できるよう、そして何より、悔いなく、自分に恥じることのない一年間だったと胸を張れるよう、全員で、全力で頑張りましょう。

以上です。失礼します。

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